精神科での実践調査

精神科での実践調査

精神科の音楽療法ではどんなことが行われるのでしょうか。

精神科で働く音楽療法士たちによるアンケートの回答から、実施している施設や、臨床哲学、介入の内容、治療目標などを記述的に評価報告してくれ、精神科音楽療法について俯瞰できる文献です。

調査報告の要約部分を読んでみましょう。

動詞らしい reported と considered に加え、
さらに using と 現在分詞型 になっている use も見つけられたでしょうか。

Respondents reported that they use primarily behavioral or psychodynamic approaches
と書けるところを

Respondents reported that they useing primarily behavioral or psychodynamic approaches
接続詞の that と Respondentsの代名詞である they を省略し、
they “use”と現在の話しをしているので 動詞useを「現在」分詞形にして

Respondents reported using primarily behavioral or psychodynamic approaches
としています。

Respondents が主語、reportedが述語動詞らしいですが、considered はどうでしょうか。

considered と過去形か過去分詞形ですが、過去分詞形であれば前か後ろに considere が詳しくする名詞がくるはずです。

しかし、but considered their primary psychological philosophy と名詞が前後に見当たりません。

considered は but で reported とつなげられ
かつ主語が同じなので主語が省かれていると考えていいでしょう。

よって、この文の

主語は Respondents で
reported と considered が述語動詞です

reported の内容は、
現在分詞usingを、先に関係代名詞で書き直した場合の、that節内にあたります。

Respondents reported that [ they (respondentsの言い換え) use primarily behavioral or psychodynamic approaches ].

つまり
「Respondents が『primarily behavioral or psychodynamic approaches を use している』と report した」
という意味になります。

considered の内容は、
electic など音楽療法分野特有の表現で分かりにくさもありますが、

respondents「回答者」を they と言い換えると、
respondents’(回答者の)にあたるものが their だと気づくと訳しやすいかと思います。

つまり
「彼らの(their = respondents’)primary psychological philosophy を electic として(as)」consider した」
ということになります。

という構造で、おおまかには

と訳せます。

(as) electic
electic は「折衷の」「取捨選択した」といった意味で、心理学分野では Electic therapy のような使い方をするようです。音楽療法分野でも、様々な手法やアプローチを「選び抜いたものを組み合わせて」用いるアプローチを指します。
本文中では、primary psychological philosophy を electic 「として」report したという意味で “as” electic となっています。

1つ目の文の主語は Respondents「回答者」でしたが、
2つ目の文は、Participants「参加者」が主語でありそうです。

動詞 respond「応答する」が「応答した人」つまり「回答者」、
動詞 participate「参加する」が「参加した人」という意味で「参加者」と、
くどく訳し分けましたが、

基本的には、この文献の調査に回答した音楽療法士たちのことを指しているのでしょう。

すると、述語動詞は indicated か addressed でありそうですが、
addressed の前に they があります。

1つ目の文のように、主語 Participants を繰り返さないように they で言い換えています。

つまり they が主語で、述語動詞が addressed である文が、
Participants が主語で、述語動詞が indicated である文に、
入れ子のように組み入れられています。

よって、

(大枠の)文の主語は Participants で、述語動詞は indicated
 節内の主語が they で、addressed はその動詞

ということになります。

節内の動詞 address は、大枠の述語動詞が過去形 indicated であることに従って、addressed となっています。

また、predominantly は動詞を詳しくする「副詞」で、
詳しくしている indicated の直前に置かれています。

such as は、for example「例えば」と似た意味を持ち、具体例を列挙するときに使われます。

本文だと、goal areas の具体例として、
❶socialization ❷communication ❸self-esteem ❹coping skills ❺stress reduction/management
の5つが挙げられています。

2つ目の文の構造を整理しておきましょう。

最後の文です。

今回も調査への参加者 Participants が主語で、述語動詞が noted
そして 言い換えの they が節内主語で、動詞が employed という入れ子構造です。

よって

(大枠の)文の主語は Participants で、述語動詞は noted
 節内の主語が they で、employed はその動詞

2つ目の文と同様に、文の述語動詞である noted に合わせて、
節内の動詞 employ は employed と過去形になっています。

3つ目の文も長いですが、よく見るとまた such as があるので、また調査の結果として何か列挙しているようです。
2つ目の文を参考に、such as の位置をヒントに具体物がどこまでか確認しましょう。

文の主語・述語動詞と節内の主語・動詞も省くと
a variety of music therapy techniques such as music assisted relaxation, improvisation, songwriting, lyric analysis, and music and movement

such as の位置と、
3つ以上のものを列挙するときは、最後のものの前に and がある
ことをヒントに分解してみると

a variety of music therapy techniques の具体例として
1) music assisted relaxation, 2) improvisation, 3) songwriting, 4) lyric analysis, and 5) music and movement
と、またもや5つを列挙しています。

and が2つあるのでわかりにくいですが、music の前に , and があることから
“music and movement” で一つ(の music therapy technique)で、これが最後です。

残る to address consumer objectives 不定詞 ですね。

直前にある music and movement (名詞)を詳しくする形容詞的用法か、
動詞を詳しくする副詞的用法なのか悩むところですが、
不定詞の部分をまず訳してみると意味から用法が分かることがあります。

「 consumer objectives を address する ○○○
  ❶❷…❺のような
  a variety of music therapy techniques を
  参加者は(they)employ と、note した。  」

無理やりかとも思いますが😅
「ために」というつながりが思い浮かぶのではないでしょうか。

つまり
「consumer objectives を address する ためにemploy した」と、
to address の不定詞は、遠くにある employed つまり動詞を詳しくする副詞的用法です。

今回の文献には、音楽療法特有の語句が散見されました。

goal areas として

  • socialization
  • communication
  • self-esteem
  • coping skills
  • stress reduction/management

music therapy techniques として

  • music assisted relaxation
  • improvisation
  • songwriting
  • lyric analysis
  • music and movement

英語は動詞を “やりくり” することが多いので、これらの多くが動詞に由来します。
初めて見る語句でも、動詞の残片を見つけられ動詞の意味を知っていると意味が捉えやすいかと思います。

音楽療法士でなくとも、ぜひこれらの動詞の意味を一度確認してみてください。

  • socialization
  • communication
  • coping skills
  • stress reduction
  • stress management
  • music assisted relaxation
  • improvisation
  • songwriting
  • lyric analysis
  • music and movement

訳例は以下のとおりです。